山芋は伝統ある元気・スタミナ・脳活性食
日本での山芋の歴史は古く、縄文時代から食用にされ、なんとお米よりも長く食べ続けられています。
世界中には600種類もの山芋があるそうです。
亜鉛、カリウム、鉄などのミネラル成分やビタミン類なども豊富で、ムチンにより胃壁も守られるため、体力回復に効果的で、漢方では、山芋のことを「山薬」と呼び、糖尿病や滋養強壮の薬として活用されてきました。
一般的に精力剤としてのイメージが定着しているほど、元気の出るスタミナ食で、身体を活性化し、がんばりを維持させます。
ねばりけの強い山芋を使ったお好み焼きは、野菜もたっぷり取れ、芋類が嫌いな人にも人気のあるエネルギーメニューです。
山芋のアミラーゼで脳の疲労回復力アップ
山芋は、でんぷんを多く含みますが、炭水化物分解酵素アミラーゼがでんぷんの消化を助けるため、生で食べることにも向いています。
麦ご飯にすりおろした山芋をかけた「麦とろご飯」など、山芋と一緒に食べると、消化しにくいものも、消化吸収しやすくなるため、胃の負担も少なく、良質な栄養が早く行きわたり、新陳代謝を活発にし、脳の疲労も回復させます。
主な3種の山芋とそれぞれの効能
長芋は、丸い筒状をしていて、粘りが弱くやや水っぽいので、千切りにして食べるなど、サラダにも向いています。ビタミンCが豊富で体調を整えます。
銀杏芋は、イチョウの葉のような形をしています。関東では大和芋とも呼ばれ、ねばりが強く、とろろに向いています。ビタミンB1、ビタミンCが豊富で、解毒作用、精神安定効果があります。
捏芋は、ボールのような丸い形をしています。関西では、これを大和芋と呼んでいます。粘りがとても強く、味が濃いのが特徴です。食物繊維、カリウムなどが豊富で、消化酵素の働きも高く、滋養強壮や美容にも良いとされています。
山芋に含まれる注目の健康成分ジオスゲニン
山芋に含まれる成分で、近年特に注目されているのがジオスゲニンです。
ジオスゲニンが「若返りホルモン」とも呼ばれるDHEAと構造が似ているため、同じような作用があることが示唆されているからです。
あの陸上短距離のウサイン・ボルト選手が、「ヤムイモ(現地の山芋)が強さの秘密」と語っていることにも納得できます。
最新の研究結果では認知機能への有用性も報告されています。
ジオスゲニンは、山芋由来の性ホルモンの類似体であるため、植物性美ホルモン成分としてアンチエイジングにも期待されます。
山芋中のジオスゲニンは、主に糖が結合したジオスゲニン配糖体として存在していています。
このジオスゲニン配糖体は、国内で一般に食されている山芋や、精の付くイメージのある自然薯などには、ほとんど含まれておらず、普段の食事から十分な量を摂ることは難しいとされています。
そのため、山薬として知られる漢方山芋の中でも、特にジオスゲニン含有量の多い懐山芋が脚光を浴びています。
近年では、特殊製法により山芋中のジオスゲニン配糖体の糖を切って、体内で有効利用されやすいジオスゲニンを抽出した山芋エキスを配合したサプリメントが開発されています。
希少なジオスゲニンを効率よく摂取するにはおすすめです。
栄養素としては、ジオスゲニンを単体で摂るよりも、他の健康成分やビタミン、ミネラルなどと併せて、バランスよく補う形がよいでしょう。